10/6
高松市営マリーナへ
 走行距離 : 23.8 NM
 Total : 3079.1 NM
 走行時間 : 4:05
 Total : 545:10
桟橋の隣に漁船が停める音で目が覚めてしまいました。7:30に昇ったばかりの朝日の中を出港、定置網と生けすを避けながら東側の岬を周るとすでに「瀬戸中央自動車道」の大きな橋が見えました。東行きの「備讃南航路」に沿って本四架橋へ、風は真向いから7m/s、波も向い側からで対水速度が上がりませんが、連れ潮に乗って快適に前進しています。橋をくぐってから航路を離れ高松市街地方面へ、波も風も静かになったのでジブを開き帆走でヨットらしい走りで一路マリーナヘ。遠くからディンギーヨットが多数見えてきてマリーナの位置が確認でき、さらにマリーナ手前では別のマリーナから出て来た兄弟艇の「デヘラー36CWS」と出会いエールを送られてしまいました、この地域はヨットが盛んなようです。
11:35新しくできたばかりの桟橋に着岸、4時間05分、対地距離23.8NM、対水距離20.0NM、快晴の短距離クルージングでした。今日は船内で昼食、すぐに昼寝タイムとなりすっかり熟睡してしまいました、当然儀式のお酒のおかげですが・・。
夜になって昔若い時に一緒に仕事をしていて、今は高松の隣の三木町に住んでいる先輩のTMNさんに奥様同伴で来艇していただきました。私の航海記をずっと読んでいて「瀬戸内に入ったら絶対に高松に寄れよ」との事で本当に久しぶりの再会でした。初めて見るというヨットの中に入っていただきしばしの歓談、今日は仕事があるとのことで乾杯とは行きませんでしたが、久し振りの再会を堪能することができました。
次は大変に近い小豆島に向かい「二十四の瞳」の世界を観光する予定です。
 
      瀬戸中央自動車道、昔北京出張の飛行機から出来たばかりのこの橋を見ていました
10/7
小豆島・「ふるさと村海の駅」へ
 走行距離 : 12.6 NM
 Total : 3091.7 NM
 走行時間 : 2:30
 Total : 547:40
7:15に離岸して女木島・男木島と大島の間を通り備讃航路へ、潮の関係か東へ向かう本船が多いようですがタイミング良く航路を横切ってから東に向い小豆島の石田湾に、チャートの定置網の位置とGPSを見比べながら弁天島の南側を通り「ふるさと村海の駅」の桟橋に着岸しました。9:40、2時間25分、対水距離11.8NM、対地距離12.6NMの短い航海でした、当初内海港へ向かっていましたが、午後には天候が下り坂ということもあり、急きょ方向転換してここに係留することにしました、管理事務所で受付後、早速名物の冷やしそうめんの大もりでの昼食を堪能しました。
昼寝の後にデッキに出ていると昨日高松の桟橋でお会いした「Liverty Bell」がこの桟橋に向かって来ます、もやいを取るのを手伝ってから、一緒に国民宿舎へ行って入浴と楽しい食事となりました。次は姫路に向かう予定ですが、台風の動きが気になります。
10/8
小豆島・「ふるさと村海の駅」で休日
 走行距離 : 0 NM
 Total : 3091.7 NM
 走行時間 : 0:00
 Total : 547:40
朝から雨が降っています。今日は山陰にある前線が南下して来て風が強まり、雷混じりの雨が降る予報で、新門司以来8日間連続して走ったので今日はお休みの日と決めました。隣に停泊していたSITさんの「Liverty Bell」は全員「今日中に帰らないと」とホームポートの徳島に向けて出港して行きました。無事に帰ってください。
毎日走っていても船底の水線付近に海藻が付くもので、予報に反して薄日の射す中スクレーパーをボートフックに取り付けて船底掃除となりました、これで明日からは少しは早く走るでしょう。それにしても10月になったのに暑い、一日散歩をしたり、昼寝をしたりとゆったりとした休日を過ごしました、
次は姫路に向かう予定ですが、海上の状況が良ければ神戸の須磨まで足を延ばすかもしれません。

◎港などでお会いした人たちからは決まって同じような質問や問いかけがきます。
この日記を読んでいる人の中にもあまりヨットの事を知らずに同じ疑問を持っている方もいると思いますので、時折これらの質問にどう答えたのかを書きます。
よくある質問・その1 「港に入るには事前に許可を受けているのですか?」
ほとんどの港には港を管理する人は駐在していません、漁協や漁師さんなどの利用者がいるだけなので事前連絡はしません。
日本全国のすべての港湾施設は「国土交通省(元の建設省)」が国税を使って作ったものです、したがって港は税金を払った国民の施設なのです、建設後の管理は都道府県の港湾課に委託されていますが管理するのは設備などで、船の出入りの管理は基本的にはしません、調整をしているだけです。したがって入港前に許可を受ける必要はありませんし入港した船を追い出すことなどは出来ないのです。
日本では憲法で「往来の自由」が保障されているのです、北朝鮮制裁の特別立法ができるまで北朝鮮の貨物船や「万景峯号」が大手を振って港に入って来られたのはこういう理由からです。

よくある質問・その2 「港に入ったらお金を払うの?」
「マリーナ」や「海の駅」のように係留設備を作り営業している施設ではお金を払う事があります。だいたい一泊¥2,000−前後ですが、無料の施設から¥5,000-以上まで料金はまちまちです。
しかし一般の港湾や漁港には前述のように港にお金を払うべき相手の人がおりません。
国の財産を使って他の人がお金を取ることは基本的に禁止されています、例えば他人の家の空き地の前に立っていて、入って来る自動車から駐車料金を徴収する詐欺のようなものですから。
10/9
小豆島・内海港へ
 走行距離 : 10.7 NM
 Total : 3102.4 NM
 走行時間 : 1:50
 Total : 549:30
朝から強い雨の音がしています、この場所は静かでいいのですが、南西に大きく開いている港なので風向きによってはうねりが襲って来そうなのです。今日は遠くまで行くのは諦めて、せめて台風15号から変わった低気圧が近付いてくるのを避けるため隣の内海港まで行くことにしました。雨が上がって薄日が差して来たので11:00に離岸、まず南に向いました、地蔵崎付近で右の方向からモーターボートが近付いてきます、なんと天草で42Ftのボートを入手して千葉に戻る途中の銚子マリーナのYMDさんです、しばし並走して大声で言葉を交わしてYMDさんは先に内海湾に入って行きました。
5月下旬に青森の下風呂でお会いした須磨のSZさんの紹介で高速フェリー桟橋にYMDさんの船と一緒に係留することができました。12:500、1時間50分、対地距離10.7NM、対水距離9.3NM、短い航海でしたがここなら少しの風が吹いても安心な場所です。すぐに近くの「桟橋食堂」で一緒に昼食、壁には多数のヨットマンの名刺が張ってありヨットマンのたまり場のようになっている食堂らしいですね。
ほどなくSZさんから連絡が入っていたようで、地元のヨットマンのIWMTさんが来艇し、我々を「小豆島オリーブ公園」の入浴施設まで送っていただきました、港から離れた場所なので本当に助かります。
その後、居酒屋での食事から帰ろうとすると、またIWMTさんが車で居酒屋に迎え来ていただき船まで送っていただきました、それからはYMDさんの船で10時まで歓談となり、静かな海面での楽しい夜になってしまいました。明日は強風が残りそうなのでまた待機する予定です。

 
                   小豆島沖で近付いて来たYMDさんのボート
10/10
小豆島・内海港での休日
 走行距離 : 0 NM
 Total : 3102.4 NM
 走行時間 : 0:00
 Total : 549:30
朝ゆっくり目を覚まし、「桟橋食堂」での朝食後に隣に停めていたYMDさんの船が出港して行きました。天気は良いもののまだ紀伊半島のあたりにある低気圧に吹き込む風が強い見込みで、こちらは出港をあきらめて小豆島観光をする事を早くも決めました、抜けるような青空ですが、案の定強い風が音を立てて吹いています。昨日のIWMTさんに車で迎えに来ていただきましたので、同乗させていただき「二十四の瞳・映画村」と「岬の分教場」へ観光、私の小学校のころの雰囲気の残った校舎に入り大変懐かしい気持ちになりました。一度船に戻ってから須磨のSZさんがフェリーで小豆島に向かっているとの連絡がありましたので福田港へ、5月末の青森以来の再会に思わず握手、それから3人で島一周のドライブです、淡路島や岡山の山並みが間近に見える景色を楽しみながら島を周って来ました。船に戻ってSZさんと二人してしばしの昼寝タイム、夕方には徒歩で昨日の居酒屋に向い青森以後の二人の軌跡をたどりながら航海の楽しかった事などを話しながら楽しい食事となりました。
明日は海上の状況が良くなりそうなので、須磨の港に向かおうと思います。

よくある質問・その3 「港に入って停める所が無かったらどうするの?」
この航海で、すでに100カ所くらいの港を利用しましたが、幸いな事に停める所が無かったことは一度もありませんでした。ただ停めにくい所や、場所によっては動く予定の無い漁船に着けさせていただいたことはあります。

よくある質問・その4 「航海中に嵐が来たらどうするのですか?」
何もない時に突然嵐が発生することはありません、この航海では毎日天候の状況をみて港から港に行くので、万一荒れそうな日には港から出ることはありませんでした。
したがって急に嵐に見舞われることはありませんでした、にわか雨程度はありましたけど。

 
                壷井栄の「二十四の瞳」の舞台となった「岬の分教場」
10/11
神戸・須磨ヨットハーバーへ
 走行距離 : 49.5 NM
 Total : 3151.9 NM
 走行時間 : 8:00
 Total : 557:30
昨夜はSZさんが「さつき」に泊ることになりました、昼間は暑いのですが夕方からは秋の涼しさが感じられ、久し振りに毛布を引っ張り出しました。
今日はSZさんが同乗して一緒に須磨ヨットハーバーまで行くことにします、潮流の時間を計算して少し遅めの8:10に離岸、先ほどまでの霧雨はすっかりあがり、西の空がいくらか明るくなってきています。
湾外の大きな定置網を避けてから東に向い、潮谷鼻の先にある福部島の北側を通り大角鼻を周ってからは本船航路に沿って航路の北側を明石大橋方向へ真っ直ぐに舳先を向けました。小豆島の山肌が霞んでくると今度は正面に明石大橋が良く見え、風は弱く鏡のような海面を西行きの本船の動きに気を使いながら明石瀬戸に近づいて行きました。当初は弱い迎え潮だったのが次第に連れ潮に、明石大橋が視認できるようになると潮の早さはどんどん増して、本土側の橋の下をくぐる頃には連れ潮は4ノット近くまであがり、計算どおり潮止まりの30分前に橋をくぐることができました。
須磨ヨットハーバーでは屋代島で再会した「カメさん」のKSMTさんとMRTさん、それに初対面のFDNさんが係留場所を確保していて、誘導されるがままに南西側の岸壁に着岸、16:10、8時間ちょうど、対水距離43.5NM、対地距離49.5NM、時間は永かったけど、ほとんどが連れ潮でSZさんの水先案内の甲斐もありかなり得をした快適なクルージングでした。
まずは皆で着岸儀式の後近くの入浴施設へ行き入浴と食事、さらに場所を移しての歓談となりました。2年前にKSMTさんとMRTさんが銚子に立ち寄られた時には大した事をしてあげられなかったのに、今回は皆さんに大変お世話になってしまいました、感謝!感謝!です。
明日は潮の時刻と相談して淡路島の洲本港に行く予定です。

 
                 計算どおり連れ潮で快適にくぐった「明石大橋」
10/12
淡路島・洲本港へ
 走行距離 : 22.6 NM
 Total : 3263.5 NM
 走行時間 : 4:05
 Total : 361:35
昨夜は飲みすぎたようです、朝眠い目をこすりながら起きだすと昨夜は船中泊をしたKSMTさん、MRTさんそれにFDNさんがもう起きていました。今日はMRTさんに淡路島の洲本まで同乗していただく事になり、KSMTさんとFDNさんに見送っていただき、潮の時刻を考えて8:40に出港しました。
港外に出ると左に新しい「神戸空港」、右手には昨日くぐって来た「明石大橋」が朝日に輝いてはっきり見えています。約160度に針路をとると大阪湾内にはどこを通っていったら良いのかわからないほど多数の太刀魚捕りの漁船が漁をしています。しばらく紀伊水道方面に進み、4時間05分の行程の中間地点から洲本港に向いました。
作業船の入港に気遣いながらフェリー桟橋の奥に着岸、12:45、対水距離20.1NM、対地距離22.6NM、水先案内人がいるのでゆったりとしたクルージングでした。
10月も中旬だというのに非常に暑い!、すぐに冷たい「飲み物」で儀式をしてから近くの食堂で昼食をしてMRTさんはバスで神戸に帰って行きました、お世話になりました。
しばし昼寝をしてから徒歩で市内散策に、結構賑やかな町ですが、明石大橋の開通以来、外からのお客が素通りして行ってしまうようでシャッターの閉まった店が所々にみられました。
次は大阪湾を出て和歌山県の日高町あたりに向います。

よくある質問・その5 「危険な目には会いませんでしたか?」
幸いというか毎日がルンルンの旅で危険を感じたことは全くありませんでした。車で陸上を何ヶ月も旅行をすればヒヤ!とするような危険な目に会う事が10回や20回はあるでしょうが、ヨットというのは非常に安全な乗り物です。もちろん「冒険」的な要素など全くありません。

よくある質問・その6 「ヨットって引っくり返らないと聞いたのですが」
私のヨットは総重量が5トン以上ありますが、そのうちの1.6トンは船底に水深2mまで突き出した重りになっています、ですから横転することはまず考えられませんが、万一横転しても「だるまさん」のように元にもどるようになっています。モーターボートや漁船等と比べてもはるかに安全な船なのです。