5/19
泊漁港での休養三日目
 走行距離 : 0 NM
 Total : 439.8 NM
 走行時間 : 0:00
 Total : 81:00
天国だと思った漁協前のこの場所も結構揺れます、最初に係留した場所とは違いうねりが後方から来るので船が前後に走り、その度にもやいロープがガツンと伸びて凄いショック、夜明けを待って「とまり屋」の主人の助言どおりドックの桟橋に移動、ここは全く揺れません。
しかしコーヒーで朝食を摂っているとドックの人が来て「昼の間は何度か船の出し入れをするので夕方以降この場所を使って!、明日は休みなので一日中大丈夫だよ」とのこと、この方の勧めで少し港口寄りの岸壁にまたまた移動、この場所も全く問題ない、最初の日からここに来ればよかった。
雨が降っているので船の中でウツラウツラしていたら外から人の声が、キャビンから顔を出すと昨夜隣で飲んでいたTTHRさんが小学生の坊やを連れて来艇、ありがたいことに奥様の作ったもちとゲソのから揚げを差し入れていただきました、感謝!。昼食はこの差し入れをおいしくいただき、その後はラジオを聴きながら何もせずに船中ですごしました。明日もまたこの港に居る事になるのかなぁ。

5/20
泊漁港での休養四日目
 走行距離 : 0 NM
 Total : 439.8 NM
 走行時間 : 0:00
 Total : 81:00
気象情報をチェックすると今日は昼前から晴れて波も高くはないけれど、今朝通過した低気圧が東にあり吹き込む西寄りの強い風が吹く予想、尻屋崎から先は津軽海峡の潮流に向かわなければならず、さらに西風が強いのでは非常にツライ、外では時折強い風の音がしているので今日もここでゆっくりすることに決めました。
係留している場所は大型の漁船が入るとのこと、昨日のドック脇の岸壁に移動して朝食、濡れた手袋などを干していると「とまり屋」の奥さんが友達と近所の子供7−8人を連れて来艇、たちまち「さつき」は遊園地のように賑やかやかになりました。
一旦子供たちも帰り、強い日差しに毛布を干し終えて八戸で買って来た沖縄そばで昼食を摂りくつろいでいると、外から子供の声で「ヨットのおじさん!」と呼ぶ声、奥さんがおにぎり・いなり寿司それにお汁を作って差し入れていただきました。これで今晩の食事は確定、何から何までお世話になりました。
明日はやっとこの泊漁港を出る予定で目的地は下風呂、ここで温泉を満喫しながら後続の神戸からのヒロさんを待つことになりそうです。
 
 
                              大勢で記念写真
5/21
大畑港へ
 走行距離 : 36.3 NM
 Total : 476.1 NM
 走行時間 : 6:20
 Total : 87:20
もう休養というよりも完全に泊に根が生えてしまいました。
昨日いただいたおむすびで夕食をしながらテレビを見ていると外から呼ぶ声が、朝のお母さんが子供と一緒に袋いっぱいの小女子(こうなご)を持ってきて「お酒のつまみにどうぞ」と差し入れてくれました、返す物もなく丁寧にお礼を申し上げました。この船から見える家の方だそうで、「明日は家の中から見送りします」とのこと、昨日は散歩中の漁師さんが船の移動を手伝ってくれたりと、この港の人々の優しさに感謝です。
夜9時くらいから風が強くなってきてゴーゴーと音を立てるようになってきたのが、朝4時に目覚めてもまだ吹いている、それどころか時折15mを超える風が!、明らかに強くなっている、半ば今日の出航はあきらめていました。
ところが9時半を過ぎる頃から風が落ちてきて、望遠鏡で海上をチェックすると何とか出られそうだし明らかに好転の方向に向かっている。
10:10意を決して出航、尻屋岬までは強さも方向も定まらない風に度々セールを合わせる忙しいセーリング、時折8ノットを大きく超えるので油断できない3時間でした。尻屋を越えると右から大きな波の連続で今回のクルージングでは一番荒れた海面でした、スリルがあり過ぎ!、やはりルンルンセーリングがいいな。
下北半島寄りにコースを変えると一時3ノットあった潮流も収まり平均しても6.5ノット以上で一路大畑へ駆け込みました。今日中に下風呂に入るつもりでしたが、無理せず手前で夜を過ごすことにしました。
着艇16:30、37NM(対地36.3NM)、6時間20分でした。

5/22
露天風呂、そして下風呂温泉へ
 走行距離 : 6.5 NM
 Total : 482.6 NM
 走行時間 : 1:40
 Total : 89:00
尻屋岬から大畑までの間にかなり潮をかぶり顔全体が塩からいので、昨夜着替え一式をリュックに詰めて自転車で銭湯に向かったのですが、あいにくどの銭湯も定休日、しまった!、先ほど八戸に着いたヒロさんから「月曜日で風呂に入れなかった」とのメールをもらっていましたのに、八戸もここも同じ青森県なのを忘れていました。
仕方なく近くにあったホームセンターで舫いに使うチェーンを購入、傍にあった居酒屋で一杯やって船に帰ってきました。
昨夕ここで散歩中に声を掛けていただいSGSWさんが温泉につれて行ってくださるとのこと、朝のテレビ小説を見ていると車で迎えに来てくださいました。車で20分くらいのところにある「薬研温泉」の露天風呂で一時間半ほど新緑と清流の音を楽しみながらノンビリとした時間をすごしました。SGSWさんは船乗りで数ヶ月間船に乗った後の休暇の時期だそうです。風呂の後は10数年前に建てたという立派なお宅にご招待されお茶をご馳走になってきました、ありがとうございました。
船に戻って軽く昼食を摂った後、海面の状況を望遠鏡で確認して13:40出港、風は少なかったものの大間あたりの強風でできた波がほぼ正面から襲ってきます、この波を乗り越えながら約6マイル先の下風呂港に移動、15:20一番奥の岸壁に着岸しました。7.6NM(対地6.5NM)、1時間40分
神戸から北海道に向かっているヒロさんが1日遅れで今日泊漁港に着いているので温泉につかりながらユックリここで待つことにします。

5/23
風間浦村・下風呂港にて待機
 走行距離 : 0 NM
 Total : 482.6 NM
 走行時間 : 0:00
 Total : 89:00
昨夕はこの下風呂名所の共同浴場「大湯」に行って硫黄泉を堪能してきました、露天風呂・名湯と温泉三昧の一日でした。夜になると風が上がってきてゴーゴーと音を立てて吹いていました。真夜中の3時ちょうど、甲板で凄い音が!!、懐中電灯で照らしてみると船からの乗り降りのためにポートサイドに置いてあったスチールの脚立がスターボ側に飛んでいた、今日の出航は絶対無いと決意し再度眠りにつきました。
ユックリと7時まで寝て目を覚ましてもまだ強風が吹き荒れているので、近くの公園から水の補給、そして燃料の補給、さらにキャビンの掃除をしていたらヒロさんから8:30に「尻屋岬を周った」とのメール、よくこんな強風の中出航したものだと感心しながらキャビンの掃除をいつもより念入りにしてしまいました。
12時に東の海上に望遠鏡で2つの船影を確認、海上には相変わらずウサギが飛んでいて風速は10m/s以上、おまけに完全な向かい風の中下風呂に向かって来ています。
1時に2艇とも着岸、いずれも神戸の須磨から北海道一周に向かっている「ヒロ」のKWBTさんと「サーモン」のSZさんで、用意していた昼食とビールで初対面の挨拶、しばし歓談の後共同浴場そして居酒屋で再びの乾杯となりました。
船にもどってからは昨年K&AのYMGCさんと北海道を周った時の情報を提供して眠りに着きました。


 
                       風呂港い゛会った「ヒロ」さんと「サーモン」さん
5/24
青森港へ
 走行距離 : 58.1 NM
 Total : 540.7 NM
 走行時間 : 9:40
 Total : 98.40
いつものように朝4時に目が覚めてウツラウツラしていたら隣に留めている船から物音がする、しばし狸寝入りを決め込んでいたが気になるので顔を出すと他の2艇は「もう出航する」とのこと、急いで準備して5:00下風呂港をを出港。
大間崎までの約2時間は漁船の間を縫うように西進、大間崎の浅瀬を大きく回り込んで南に向きを変えると下北半島に当たって南に向かっている2ノットの海流に押されて一時8ノット近くまでスピードが上がる。今日は海面も風も静かでおまけに晴天、仏が浦の景色を楽しみながら久しぶりのルンルン気分です。しかも3艘編隊を組んでいて常にそばにヨットが見えるのもいいもんです。
かなり遠くからも見えていた高さ76mピラミッド型の観光物産館近くの岸壁に3艇並んで14:40に着岸、近くにいた宅配便の人がもやいを取ってくれました、親切心に感謝です。 57NM(対地58.1NM)、9時間40分の長旅でしたが全く疲れのない一日でした。
夕方にはSZさんの知り合いの方の案内で近くの料理屋でご馳走になってしまいました。明日は雨になりそうなのでゆっくり寝ることにします。


 
                        青森でお世話になった方々と
5/25
青森港で待機
 走行距離 : 0 NM
 Total : 540.7 NM
 走行時間 : 0:00
 Total : 98:40
昨夜は飲み過ぎたようで、朝4時にひどくのどが渇いて目を覚ましてしまいました、まだ完全に酔っている。トイレの窓から空を見上げるとどんよりとした重そうな曇り空、天気予報どおり今日は雨なので出港は断念しまた眠りにつきました。
7時になるとSZさんとKWBTさんが「せっかく大都会に来たのだから、キャビンで自炊はやめて喫茶店でモーニングサービスで朝食にしよう」と誘っていただきました、徒歩ですぐ近くの繁華街の喫茶店にて朝食、その後青森駅の近くを通って船に戻ってきました。30年以上前でしょうか、ここから青函連絡船に乗って北海道に渡った頃のことをなつかしく思い出しながら散策して船に戻ってきました。
9時になると昨日お会いしたKINMさんが来艇、商売物なのでしょうが缶詰など保存できる食料をたくさん差し入れていただきました、さらに早朝に昨夜お会した当地のヨットマンのWKIさんからもサーモンの差し入れがあり、ありがたくいただきました。この航海で絶対スリムになって帰ろうと決心していたのに全く痩せることはできそうにありません、でも感謝、感謝です。
天気は薄日が差したり雨が降ったりと思わしくありません、船の中で過ごすのも飽きたし近くの床屋に行って久しぶりにスッキリして帰ってきました。
夕方には3人で駅の西方の銭湯に行き、土砂降りの雨の中を夕食をする店を探しながら帰る途中に昨夜のWKIさんから携帯に電話があり「一緒に夕食をどうですか?」と言うことです、できるだけアーケードのある道を選びながらまた昨夜の店で合流しました。陸奥湾の他の港の情報をお聞きしながら青森の二晩目も楽しく過ごすことができました、重ねて感謝です。
明日も雨模様、まだしばらくこの青森に滞在することになりそうです、粟島の予定があるものの急ぐ旅ではないので観光をしながら過ごすことにします。近くの建物からは「ねぶた」のお囃子の練習をする笛太鼓の音が聞こえています。


【ヨットに関する用語】
この航海記読んでいる全くヨットのことを知らない人のため、何気なく使っている「ヨット用語」を列記します。参考にしてください。
マスト 帆柱のこと、この頂上に滑車が付いていて帆を張るための柱です
メイン メインセール(主帆)帆柱に張る大きな帆のこと
ジブ ジブ・セール、帆柱の前に張る補助の帆のこと
ハル 船体のこと、夏でも冬でもハルと呼びます
ポート 左舷、船の左側のこと、通常港に接岸する側、飛行機も必ずこちら側から乗り降りしますよね
スターボ 右舷、船の右側のこと
バウ 船の先端部分、映画「タイタニック」で女優が両手を広げ船の速度を感じた場所
スターン 船の後方の部分、揺れが少なくて居心地の良い場所です
クローズ クローズホールド、風に対して向かって行く走り方、ヨットは風に向かって約45度まで進むことができます。
アビーム 真横からの風のこと、結構スピード感のある走りができる風
クオーター 斜め後ろからの風のこと、本当は一番速く走れる風向
ランニング 真後ろからの風で走ること、あまりスピードは出ず、場合によっては危険なことの多い走り方
オーパイ オートパイロットの略、方向を決めると自動的に舵を動かしてくれるすぐれ物。
私のオーパイは「文句も言わずよく働く者」ということで「あけみちゃん」と名前をつけています、でも、なぜ「あけみちゃん」なのだろう?
ワンポン ワン・ポイント・リーフの略、強風に絶えられる様にメインセールの面積を少し小さくすること、縮帆。
ツーポン ツー・ポイント・リーフの略、さらに縮帆すること。今回のクルージングではこの帆の面積で十分な安全とそこそこのスピードを確保している
フルセール 完全に広げたメインセール、スピードが出る
タック 折り返し、たとえば左から風を受けて走っていて方向を変えて右から風を受けるよう、風上に向かって約90度進行方向を変えること、ズボンのお腹のところの折り返しも同じ言葉。
キャビン 船室。寝室、台所、トイレなど生活に必要な設備が整っていて、結構快適
ノット 船の速度を表す単位、1ノットは時速1.852km。
地球の赤道から北極までの距離を一万kmとしてメートル法ができ、この一万キロが90度なので、一度は約111Kmとなります、江戸時代の伊能忠敬が一度を徒歩で測定し28.2里と正確に測定したのには驚きです。一度を60分として一分の距離がこの1.852kmとなります。
ヨットは大体5−6ノットノスピードで走ります。
フェンダー 岸壁に係留する時に船体が直接岸壁にぶつからない様に岸壁との間に入れる緩衝材
もやい 岸壁に係留するためのロープ、嵐がきついと切れることがある、くわばら、くわばら